骨粗鬆症とは「全身性の骨量減少、骨組織の微細構造の変化、そのため骨が脆くなり、骨折し易くなった病態」と言われております。30歳以降、人は1年間に約1%ずつ骨量を減少するが、女性では閉経を迎えると、50から55歳の5年間に年平均3%、5年間で15%もの骨量を失うといわれています。その結果80歳の女性は50%の骨量を失うことになり、老人の骨折が多くなるわけです。
骨粗鬆症の多くは閉経後の女性に好発します。閉経後より徐々に骨粗鬆症が増加します。脊椎骨折は女性の方が10倍程度多いが、大腿骨頸部骨折は2倍程度にとどまっています。FRAXという骨折リスク評価ツールを待合室に導入しております。
40歳以上の方を対象に、年齢・性別・体重・身長・既存骨折の有無・両親の大腿骨骨折歴・喫煙の有無などから今後10年以内に予想される骨折発生の危険度を計算できます。
DEXA法(腰椎あるいは、大腿骨で測る)
治療の第一の目標は骨折の予防になります。これは、高血圧症における脳出血予防、脂質異常症に おける心筋梗塞予防と同一の意味で、薬物治療が主となり、薬剤により最近では骨密度の増加も期 待できます。主な骨粗鬆症治療薬として内服ではカルシウム製剤やビタミンD(2011年により 骨密度増加効果の高いエデイロールも出ています。)のほかに、選択的エストロゲン受容体モジ ュレーター(SERM、エビスタ、ビビアント)やビスフォスフォネート製剤(ボナロン、フォサマ ック、ベネット、アクトネル、ボノテオ、リカルボン)があり、比較的骨密度増加作用が強い薬剤 です。また最近は内服薬よりも、より骨密度増加作用や骨折抑制効果が強い副甲状腺ホルモン注射 製剤(毎日自己注射するフォルテオ、1週間に1回注射するテリボン)があり、当院では積極的に 治療を行っています。
骨の強度の指標として、骨量が利用されており、骨粗鬆症の診断は骨量を測定する事により行われます。骨量測定は手で測る方法や踵で計る方法などいくつかありますがDEXA法(腰椎あるいは大腿骨で測る)が最も精度が高く、当院ではこの方法を採用しています。
腰椎骨密度が20から40歳の平均値70%未満を
骨粗鬆症と診断します。
本症の骨変化は脊椎に初発し、腰背部痛を主症状とすることが多いが、脊椎の変型、身長の短縮、脊椎圧迫骨折などにより発見されることもあります。
腰痛あるいは腰背痛は、骨粗鬆症において最も来しやすい症状であります。その発症機転から二つに大別することができます。一つは外力を契機として発症する急性腰痛であり、椎骨の圧迫骨折を伴い、疼痛は激烈で体位変換もできないことが多く、他の一つは、この急性腰痛から移行したもの、あるいは骨粗鬆症を基盤として緩徐に起こってきた姿勢異常に伴うものであり、慢性腰痛症の形をとるものであります。治療は骨粗鬆症に対する薬物療法とともに、鎮痛剤、コルセットなどの方法があります。
当院で行っているDEXA法の結果をお示しいたします。腰椎の各部位の骨密度を測定し平均値を計算します。これが腰椎骨密度になります。
当院で行っているDEXA法の結果をお示しいたします。腰椎の各部位の骨密度を測定し平均値を計算します。これが腰椎骨密度になります。
また多くの患者さんに骨粗鬆症治療薬を服用していただき、その半年ごとの骨密度計測の結果をお示しいたします。代表的な骨吸収を抑制する薬剤の服用によって徐々に骨密度が増加している様子がわかります。Raloxifen(エビスタ)の結果を示します。
Alendronate(ボナロン・フォサマック)の結果を示します。
Risedronate(アクトネル・ベネット)の結果を示します。